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| 駄文 |
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「遅いわね」
本当に遅い。
いつもなら三時限目の授業が終わると、どんなに遅くても十分以内には五人揃うのだから、亜季が遅いと言うのは間違ってはいない。
開け放たれた窓からは少々寒い空気が流れてきている。風邪の予防である換気の為だ。
「アツシのこと、心配ネ、アキ?」
たどたどしい日本語でロバートは微笑みかけてくる。
亜季は髪をかきあげながら軽く鼻を鳴らし、
「どうして私があいつの心配しなきゃならないのよ」
ジャックの意見をあしらおうと亜季は思ったのだが、
「こういうの、日本語で、『ひっぱりふうふ』、って言うのネ」
彼は腕組みをしながら一人納得したように頷いている。
(それを言うならおしどり夫婦、だ)
…………不快だ…………
どうして翔子もロバートも私とあいつをくっつけようとするのか理解出来ない。
幸い、総司はそういった恋愛分野は、本人に関しても他人に関しても、極度に鈍いからからかわれないけど。
亜季と淳司の性格は、言葉に例えるのなら水と油、月とスッポン……いや、月とゴキブリ位の差がある。
なのにどうして二人共、自分とあいつをくっつけようとするのか?
……謎だ……
……ただ単に、幼馴染だというだけなのに……
思考する亜季の頭にジャックの声が響く。
「でも、ホント、遅いネ、あの三人」
普段は底抜けに明るいロバートの口調に少し翳りがさす。
大した事ではないのだろうとは思うが、何かあったのか、と心配せずにはいられない。
二年二組に様子を見に行こうかと亜季が腰を浮かせかけた時、
「あ〜、大変だった」
総司が部室の戸を開けて入ってきた。顔には少し汗が浮かんでいる。手にはやはり弁当箱がある。
「なにが大変だったの、ソウジ?」
ロバートの『総司』の発音はやはり『掃除』に聞こえる。以前これを話の種にして淳司が総司をからかった時がある。
「いや、ここに来る途中で真島君と翔子ちゃんに会ってね」
ハンカチをポケットから取り出して汗を拭き始める。
「なんか、翔子ちゃん、具合が悪そうでさ。それに突発的に真島君、お腹が痛くなっているようなんだよね」
「突発的に?」
亜季が復唱したが、ロバートは突発的の意味がわからないようで、首を傾げている。
「急性盲腸炎?!」
亜季は椅子から立ち上がり、厳しい表情で総司に問う。
その声はらしくもなく焦りが滲み出ている。
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